−インターネットの常時接続はなぜ怖い?−もしかしたらインターネットを経由して,見知らぬ人があなたのパソコンを覗こうとしているかもしれません.初めてインストールしてみた個人ファイアウォールソフトがいきなり反応してきて,それでは今まで丸裸だったの?
ここでは,そんな外部からの攻撃の仕組みがウイルス感染に大きく影響していることを取り上げ,対処方法などを詳解したいと思います.
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■パソコンを起動したままの常時接続はなぜ怖い?
インターネットにつながっているパソコンにはすべてIPアドレスという番号が割り振られています.IPアドレスはインターネットの住所のようなものであり,攻撃者(ハッカーやクラッカー)はこのIPアドレスを頼りにパソコンを探し出します.企業のパソコンが狙われ易いのは,利用の仕組み上IPアドレスを変更できない「固定アドレス(グローバルアドレス)」を利用していることが多く,継続して同じパソコンを狙えるからです.
プロバイダを介してインターネットを利用している場合,動的IPアドレスを利用します.動的IPアドレスはパソコンやモデムの電源を落とす(切る)ことでインターネットとの接続が切断され,次に接続したときにはまったく新しいIPアドレスが割り振られます.しかし,パソコンを起動したままにしている場合,IPアドレスは変更されず「固定IPアドレス」を使っているのと同じことになってしまいます.IPアドレスが変わらないので,狙われる確率が高くなってしまうということです.
次に問題となるのが,最近話題の高速回線です.ADSLやFTTHでは,56Kモデム(従来の電話回線)とは比べものにならないほど高速にデータのやり取りができます.万一,IPアドレスを頼りにパソコンに侵入されてしまった場合,ADSLならば56Kモデムではやり取りできない大きいファイルも簡単に盗むことができてしまいます.1Mbpsの回線をフルに活用した場合,1GBものデータを約3時間程度で盗み出すことが可能です.
最近では,これらの状況を避けるために,プロバイダ側でインターネットにつながったままのパソコンを随時チェックし,数時間まったく情報のやり取りがないパソコンに対しては,自動的にIPアドレスを変更するところも増えてきています.とはいえ,意味もなくパソコンをインターネットにつなげたままにしておくのは危険です.使わないときは出来るだけパソコンとモデムの電源を落とすようにしましょう.

■IPアドレスさえわかってしまえば簡単にパソコンに侵入できる?
IPアドレスは,あくまでもインターネット上のパソコンの位置を示すもので,これだけわかってもパソコンに侵入することはできません.パソコンに侵入するにはセキュリティホール(パソコンの持つ潜在的なバグ;サービスパックなどで対処が可能)や空いているポート(データ通信をするときの出入口)を探し出さなければなりません.
ハッカー(クラッカー)は掲示板などから盗み取ったIPアドレスなどを使い,見つけたパソコンの空きポートやセキュリティホールを探します.そのパソコンに空きポートやセキュリティホールがあった場合,そこから侵入するのが一般的な手口です.

■TAやADSLモデムを使った接続はIPアドレスが丸見え?
TA(ターミナルアダプタ)やADSLモデムは,パソコンのデータを通信するための機械でしかありません.これらを利用している場合,IPアドレスはインターネットと接続しているパソコンにダイレクトに割り振られます.IPアドレス=パソコンの場所となるわけです.前述の通り,インターネットにつながっている状態のIPアドレスとセキュリティホールか空きポートの二つがそろえば簡単に不正侵入が可能と言えます.そういう意味ではこの構成は非常に危険です.
グローバルなIPアドレスはなにも,必ずパソコン本体に割り振らなければならないわけではありません.たとえばADSLのような高速回線を複数台のパソコンで同時に利用するための機器として「ルーターモデム」があります.ルーターモデムはモデムと同じように電話口とパソコンの間に設置します.モデムとの違いは,グローバルIPがルーターモデムに割り振られるようになるという点です.ルーターモデムが介在した場合,ルーターモデムはパソコンに対してローカルIPというLAN用のIPアドレスを新しく割り振ります.ルーターモデムがパソコンとインターネットの間に立ち「関所」となってくれるわけです.ルーターモデムにファイアウォール機能が備わっていれば,たとえIPアドレスが知られたとしても,直接パソコンに侵入されることはなくなります.
ただし,市販されているルーターの中には,モデム機能がなくADSLやISDNの接続に利用できないものもありますので気をつけましょう.

どうでしょうか?パソコンの住所となるIPアドレスは,インターネットや電子メールを利用する際に必要不可欠です.常時接続によるインターネットの繋げっぱなしは,ドアの鍵をかけないまま外出することと同じ意味を持ちます.これらの危険から身を守るには,パソコンやネットワーク技術の知識をつけるしかありません.厳しい表現をすれば,「知識がないからヤラれる」のです.利便性の追求がこれらを学ぶまでの時間をショートカットさせてしまったのでしょうか?