−アンチウイルスソフトの仕組み−アンチウイルスソフトがあれば,本当にコンピュータウイルスに感染しないのでしょうか?パソコンに付属のものと市販のものとの違いは?そんな素朴で奥の深い内容に迫ってみます.
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●ウイルス対策ソフトって?
パソコンをウイルス被害から守る最も効果的な方法は,市販のウイルス対策ソフトです.パソコンに付属のものでも機能が限定されている場合は,正規ユーザーにアップグレードするか,市販のものを入手することをおすすめします.アンチウイルス,ワクチンなどと呼ばれることがありますが,どれもウイルス対策ソフトのことです.
現在,この種のソフトは多くのメーカーから安価で発売されていて,パソコンの機種によっては最初からインストールされていることもあります.それぞれのソフトごとに細かな違いはありますが,大きな三つの役目はどれにも共通しています.

#役目1 ウイルスの検出
ウイルスはそれぞれ固有の情報パターン(指紋のようなもの)を持っています.ウイルス対策ソフトはその情報パターンの辞書を持っていて,パソコン内にあるファイルにその「パターン」が存在するかどうかを調査することで,コンピュータウイルスを検出します.(刑事ドラマの指紋照合みたいな方法です)

#役目2 ウイルスの除去
ワームと呼ばれるファイルに侵入していたウイルスが発見されると,ウイルス対策ソフトはファイルからウイルスのみを除去します.万一,削除できなかった場合でも,感染しているファイルをユーザーが開けないように「隔離」して,被害の拡大を防ぎます.

#役目3 ウイルス感染の防止

メール受信時やファイルを開こうとしたときに,ウイルスによる破壊活動がないかどうかをチェックします.ウイルスと思われる動作が見つかったときは,処理を停止させることでウイルス感染を未然に防ぎます.(特にNortonAnti-Virusのこの機能は優秀で,各ウイルス研究機関で高い評価をされています)

●ウイルス対策ソフトを入れれば安全??
答えは「安全ではありません」.ウイルス対策ソフトをインストールしてあるから安全という考え方は間違えです.ウイルスはすぐに新種が出現するので,ウイルス対策ソフトが古いままだと新種を認識できずに被害を受けてしまいます.ウイルス対策ソフトで特に重要なのが,ウイルスデータ(辞書)の更新です.「パターンファイル」や「定義ファイル」と呼ばれるこのデータは,ウイルス対策ソフトがウイルスを検出するために欠かせません.いくらソフトが最新のバージョンでも,このデータが古いままでは新種のウイルスを認識できず感染の恐れがあります.データの更新作業自体はソフトが半自動的に行うので,ユーザーにはほとんど面倒なことはありません.更新のし忘れだけに注意してください.

●たくさん入れれば効果倍増???
一つあれば十分.パソコン用のソフトは一部の例外を除き,同種のソフトを複数インストールしてあっても問題なく動作します(Wordと一太郎みたいに).しかし一般的に,ウイルス対策ソフトは複数のソフトを同時に使用することはできません.ウイルス対策ソフトの動作は極めて特殊で,複数のソフトをインストールすると,一方のソフトを「ウイルス」と認識してしまうからです.新しいソフトを導入の場合は,既存の同種ソフトをアンインストールしておくことが必要で
す.

●無料オンラインスキャンって大丈夫????
ウイルス対策ソフトが未導入で,今すぐウイルス検査をしたい人は,トレンドマイクロ社のWebサイトにある「オンラインスキャン」をしてみてください.これはインターネット経由でウイルス検査プログラムをダウンロードし,ウイルスの有無を調べようというものです.ただし!オンラインスキャンではウイルス本体の除去はできないので,ウイルスが見つかったときはすぐにウイルス対策ソフトを購入するのが流れです.(まあ,買ったばかりのパソコンが感染していたら・・・なんて,あったらショックですね)