−コンピュータウイルス感染の症状と見分け方−コンピュータウイルスに感染した場合の症状は様々です.感染してしまった場合に備えて,コンピュータウイルスについての知識を深め,早急に対応できる体制が必要です.

2000年春に流行した「ラブレターウイルス」は,全世界で5000万台以上の感染被害をもたらしたとの報告があります.また,2001年夏から流行している「CodeRed」系のコンピュータウイルスはこれを上回るともいわれています.ウイルスの感染件数,被害件数は,コンピュータ出荷台数の伸び率を上回って急激に増加する傾向があり,他人事と決め込むわけにはいかない状況になってきています.
コンピュータウイルスにはいろいろなタイプがありますが,一度感染すると,コンピュータウイルス自身以外の別のプログラムやファイルを書き換えて,そのプログラムが実行されたり,ファイルが開かれたりした際にウイルスプログラムが実行されるというものが一般的になってきています.一度コンピュータウイルスが実行され,活動を開始すると,以上のように自分自身の複製を作りつづけながら,他のプログラムやファイルに感染していきます.このように,感染しながら増殖を続けるので,感染に気付かずにいると,被害はどんどん大きくなっていくのです.
コンピュータウイルスの中には,感染後すぐに増殖せずに,活動を停止して一定期間潜伏するものもあります.このようなタイプのコンピュータウイルスは,クリスマスである12/25や,エイプリルフールである4/1などといったある特定の時期に開始するように作り込まれています.結果的には,ある時期が来ると発病し,感染したコンピュータや内部のファイルに被害を及ぼすという点では,一般的なコンピュータウイルスの特徴と何ら変わりません.
コンピュータウイルスがもたらす症状には,軽傷から重症まで次のようなものがあります.
 ・画面に変なメッセージが表示される.
 ・音声や音楽メッセージが再生される.
 ・画面の出力が突然真っ黒になり,何も表示されなくなる.
 ・コンピュータの処理速度が極端に遅くなる.
 ・コンピュータの基本設定がおかしくなる.
 ・プログラムやファイルの名前が書き換えられる.
 ・ファイルが破壊されたり消去されたりする.
 ・コンピュータシステムが破壊される.

これらの症状の中には,通常の操作でも起こりうるような現象が含まれています.このような場合には,コンピュータウイルスに感染していることに気付かず,対策をいないままに症状が進行し,取り返しのつかない被害が発生してから,はじめてコンピュータウイルスによる被害だったかもしれないと気付くこともあります.コンピュータシステムが破壊されてからでは,コンピュータウイルスによる被害かどうかの特定ができず,感染の原因や経路を調べることもできません.先に挙げたような症状が感じられたら,早急に対応できるようにしておくことが大切です.