メーリング感染 -メーリングリストによる大量感染-近頃のウイルスの大半(全体の約90%)は、電子メールで感染を広げていくワームと呼ばれるものです。一度もメールを出したことのない相手から、突然ウイルスメールが送信されてくることがあります。それらは、最近のワームの最大の特徴といえる「アドレス帖からランダムに送信先を選ぶ」という機能が原因です。
同じメールアドレスを何年も使い続けているほど、見ず知らずの人からウイルスメールを受け取る確率が高くなってしまいます。さらに、そのようなITシニアから全くの初心者が集まり、いろいろな情報交換のために形成されるメーリングリストグループが今問題となっています。
誰でも簡単に参加できるメーリングリストは、ウイルス被害の拡大に拍車をかけています。メーリングリストを有効にかつ安全に利用するために、ここではこのメーリングリストについて詳解します。

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■メーリングリストとは?
メーリングリスト(ML)とは、目的を同じとする同志が集まって形成される情報共有グループといっても過言ではありません。インターネットの活用法のひとつです。二つに大分され、一つは社内での理事会MLや執行部会MLといった毎回数人の特定人物だけにメールを送るためのグループと、もう一つはインターネット上で公開・公募され不特定多数が匿名で参加する情報交換グループです。通常の電子メールのやりとりは1対1となりますが、このようなMLでは登録されているメンバ全員に電子メールを送信することが可能です。前者は主に相互の意見交換や諸連絡を目的としていますが、後者はリストによっては膨大な人数になるものも多く存在し、通常のネットサーフィンとは一味違った情報交換手段であり、今後さらに多くの可能性を持っています。

■メールマガジンとの違いは?
メーリングリストによく似たメールマガジンというものがあります。メールマガジンは、発行者が一方的に希望者に対して情報メールを送信するものであり、受信者は発行者や他の読者に対してメールを返信することはできません。一方、メーリングリストの主な目的は情報交換であることから、メンバーは主宰者や他のメンバー全員へメールを出すことが可能です。まとめると、「意見交換や議論など双方向のやり取りができるのがメーリングリスト」「読者同士のコミュニケーションが図れないのがメールマガジン」ということになります。
これは余談ですが、メールマガジンは情報が整理されて配信されてくるので即目的に合った資料となりますが、メーリングリストの情報は自分自身で内容を分析する必要が生じメンバ同士のコミュニケーションが大切となっていきます。成熟したMLでは日々最先端の情報が行き来しています。

■メーリングリストによるウイルス感染の拡大
セキュリティ意識が高い方はすでにお気付きかと思います。メーリングリストのメンバ一人がウイルスに感染しまえば、その被害は同じリストのメンバ内で無作為に拡がっていきます。残念なことにメンバ全員がウイルス対策を施している可能性は0(ゼロ)に近く(なぜならこの感染者もメンバなので)、さらに感染してしまったメンバが他に参加しているMLに感染を拡げてしまいます。このよう
に、ウイルス対策を行っていないメンバが数人いるだけで、そのMLはウイルス拡大システムとなってしまうわけです。
メーリングリストに参加することが悪いことというわけではありません。大切はことは、やはり添付メールには気を付けるということです。現段階では、添付メールからの感染を予防できれば、ウイルスの被害が大きく拡がる危険性は大分低くなります。しかし今後、メッセンジャやVoIPなどの新しい技術が普及していくなか、インターネットを活用したコミュニケーション手段に対してのセキュリティ対策は未だ未熟であることは確かなことです。相手を信用することの前に、自分を信用してもらうことが最も必要なことではないでしょうか。