−ウイルスの命名法則−CodeRed、Nimda、Sircum・・・それぞれ21世紀の幕開けを飾った歴代の大型ウイルスです。しかし、これらのウイルスをはじめ、どのウイルスにも変な名前が付けられています。いったい誰が何を基準にウイルスの名前をつけているのでしょうか?
ここでは、ウイルスの命名規則を詳解しながら、いろいろなウイルスの種類を説明していきたいと思います。
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■CodeRed はコーラから?
2001年夏に猛威を振るったCodeRed。このウイルスの名前の由来は、eEyeDigital Security社の研究者が同ウイルスを発見した時に、たまたま口にしていた飲み物がコーラの一種でるCode Redであったことから、この名前が付けられました。このように、ウイルスの名前は、発見者に由来する場合が多くあります。
大手のセキュリティベンダは、ウイルス命名手法について、「ウイルス作者の名前をウイルス名にしてはいけない。そのウイルサを広く知らしめてしまう結果になるからだ。また、日付も使用してはいけない。日々多数の新種ウイルスが発見される今日、混乱の一因になるからだ」とコメントしています。

■まずは発見者の功績
ウイルスの名称は、基本的に発見したユーザや団体が名前を付けることになっています。そのため、大手のアンチウイルスベンダがほぼ同時に新種のウイルスを発見した場合には、同種のウイルスに複数の異なる名前が付けられてしまうわけです。ただし、数日後には名前は統一されて共通のコードになります。このとき、なるべく、何処にでも害がありそうな大げさな名前、あるいはウイルスコード文中で何回も登場してくるような名詞は避けるようにします。ウイルス作者に利益や満足感を与えないためと言われています。

■ウイルスの名前が持つ意味とは?
最近登場したウイルス『W32/Frethem@MM』は、感染力の強い凶悪なウイルスです。コンピュータウイルスはその名前を見れば、大体どのようなウイルスか判別できるように命名されています。各ベンダーによって細かい部分は異なりますが、以下に基本的なウイルスの命名規則をFrethemを例にとって紹介します。

   ウイルス名(例)「○○ / XXXXX @ △△」
   ○○ =ターゲットとするプラットフォーム
   XXXXX =ウイルス名称
   △△ =ウイルスの特徴


まず先頭の接頭句『W32』は32ビット対応のWindowsプラットフォーム全てに感染する、を意味します。これがVBSスクリプトで記述されたウイルスならば『VBS』とつき、この部分はウイルスがどのようなコードで書かれ、どのようなプラットフォームをターゲットとしているかを表します。従って、Javaであれば『Java』であり、Microsoft Excel97のマクロウイルスであれば『X97M』となります。
『Frethem』といったXXXXXに入るウイルス名は、先に述べたように発見者の名称となります。
そして、@以降の接尾辞『@ MM』はメールの大量配信をするというウイルスの特長を表します。ベンダによっては、アットマーク@ではなくハイフン”-”やア
ンダーバー”_”を使います。詳細はベンダによって変わります。またウイルス発生時には情報が錯綜するケースが多くあるため、情報を取得する時間帯によって内容のズレが生じる場合がありますが、基本的に名前でそのウイルスの特徴がわかるように命名されます。
つまり、『W32/Frethem@MM』は『Windows32ビットプラットフォームに感染しメールを大量送信するFrethemというウイルス』ということになります。